2015.05.14今月のメディカサイト特集

『3分野のプロが教える!お年寄りの熱中症対策』

 

暑い季節がやってきました♪
お祭りにレジャーに、イベントもたくさんで楽しい季節でもありますが、
気を付けたいのは熱中症!!
お年寄りの方にも、安全に過ごしていただけるように、
万が一、熱中症になってしまったときにも落ち着いて対処できるように、
「医療」「介護」「「行政(保健所)」の3分野のプロからアドバイスをいただきました。

 

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≪ 教えてくれた人 ≫
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医療法人 石手内科 院長 河辺 忠郎 さん

≪ひとことアドバイス≫
今の住宅は密閉性が高く、エアコンをつけず窓を締め切った状態だと、室温が外気以上に上がります。高齢者はエアコンを嫌い、暑さを感じることが若い人に比べて鈍くなっていますので、室内でも十分注意してください。

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熱中症とは、読んで字のとおり、「熱に中(あた)る」ことによって発症する病気のことです。高温環境下にさらされたり、あるいは運動などによって体の中で、たくさんの熱が作るような条件下によって発症し、体温を維持できなくなる状態です。

【 熱中症の重症度と症状の目安として 】
I 度(軽症度) めまい・大量の発汗・失神(短時間)・筋肉痛・筋硬直
II 度(中等度) 頭痛・嘔吐・倦怠感・虚脱感・集中力やや判断力の低下
III 度(重症度) 意識障害・過呼吸・痙攣発作
等があげられます。

 

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まず、高齢者は体温調節能力が低下しています。汗は体温を下げる作用がありますが、加齢に伴い汗が出にくくなりますし、また、入浴を嫌う高齢者が多いので、そうなると皮脂が体の表面を覆い、より汗をかきにくく、熱が体内にこもってしまいます。
次に、水分の摂取量が少ないことです。水分が身体に不足すると脳が水分補給の指令を出しますが、高齢者はこの働きが弱くなっています。エアコンを嫌い、暑いなどの感覚が鈍くなり、喉の渇きに気がつかない高齢者は多く見られます。高齢になると腎臓の働きも弱ってきます。身体が脱水状態になると「水分を体外に出さないよう」と尿が濃くなりますが、高齢者は腎臓の働きが弱っていますので、尿濃度は余りあがらず、水分が排出されてしまいます。

 

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I 度(軽症度)
こむら返りや立ちくらみの場合は、水分の経口摂取(真水よりもスポーツドリンクのような塩分と糖分を含んだものがあすすめ)で十分だと思いますが、こむら返りが持続する時は病院へ行き、点滴をしてください。

II 度(中等度)
入院治療が必要です。体温管理、補液、安静などが必要です。

III 度(重症度)
死亡の危険性が大きい為、集中治療が必要です。
身体の冷却、脱水・循環不全・電解質バランスを補正する為の大量の輸液も必要です。
脳神経、肝臓・腎臓、血液凝固系の障害に対しての治療も行う必要があります。

【 取材協力 】
医療法人 石手内科
089 – 943 – 2929
http://www.ishite-naika.com/


 
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≪ 教えてくれた人 ≫

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一般社団法人愛媛県地域密着型サービス協会
入船 啓一 さん

≪ひとことアドバイス≫
介護現場では高齢者のみならず職員も熱中症になる危険性があります。日ごろから、水分補給など自他共に熱中症対策を講じておくことが求められます。

 

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・ 朝は何事もなかったが午後、急に高熱が出てぐったりとなる
・ 皮膚や口唇、舌の乾燥
・ 微熱があり、食欲がない
・ 何となくぐったりしていて元気がない。ぼんやりしている。
・ 反応が鈍い。
・ 下痢や嘔吐、多汗。
・ 顔がほてって赤く、身体が熱い。
・ めまい、失神、意識障害
・ 筋肉痛の訴えや筋肉の硬直がみられる
・ 大量の発汗がある
・ 頭痛、気分不快を訴える
・ 嘔気・嘔吐がある
・ 倦怠感、脱力感がみられる
・ 痙攣がある

 

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◎ 体調を整え、睡眠不足や風邪気味など体調の悪いときは暑い日中の外出や運動は控える。
◎ 通気性のよい服装で、外出時は必ず帽子をかぶるように。
◎ のどが乾いたと感じるようになった時はかなりの水分不足が懸念されます。
のどが渇いていなくても定期的に水分を取るなどこまめな水分補給を励行しています。
塩分補給を考えるとスポーツドリンクがが効果的です。
◎ 冷房を嫌う傾向がありますが、空調調整や温度調整を工夫し、高温多湿にならないよう注意。
◎ 室内に温度計と湿度計を置いて、適切な室温(28℃)と湿度管理(60%前後)に努める。
◎ 男性の方はランニングにステテコなご通気性のいい服を着るよう勧めてみる。
◎ 栄養バランスの取れた食事をきちんと摂ることが大切です。また食事に汁物をつけると無理なく水分を取ることができます。
◎ 日頃からしっかり必要な水分を補給していれば脱水は防ぐことができます。外出やレク活動、風呂の後にはたっぷり水分補給をするように。

 

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◎ グループホームでは、入居している高齢者の状態をこまめに観察し状態にあわせて無理をしないように心掛けています。
◎ 小規模多機能居宅介護事業所では、家族不在の利用者のお宅に定期的に訪問して水分補給したり、送っていったときにペットボトルの冷水を飲めるように準備するなどしています。また、独居の方には安否確認やエアコンのスイッチを入れに訪問するなどしています。
◎ 自覚症状に乏しいので、周囲の者の観察やすばやい対応が肝要だと思います。
◎ ORS(経口補水塩)を作ってみましょう!
⇒ ORSの作り方(Wikipedia)
◎ 高齢者は脱水症状が起こりやすいということで、食事摂取が十分な高齢者に対してもせっせと水分補給を行っているスタッフがいます。しかし、心臓病や腎臓病で尿がうまく出ず、水分の制限が必要な人もいますので、注意をしています。
◎ 介護職員自身の熱中症対策も必要です。入浴介助中、脱力感や軽度のめまい症状が出現したり、外出同行時に吐き気や息苦しさで倒れそうになったりするケースもあり、日ごろから体調管理やこまめな水分補給の徹底が望まれます。

【 取材協力 】
一般社団法人 愛媛県地域密着型サービス協会
089 – 989 – 2550
http://ehime-cms.com/


 
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≪ 教えてくれた人 ≫

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松山市保健所健康づくり推進課
農中 久美 さん

≪ひとことアドバイス≫
人は食事から必要な水分をとっています。食事を抜くことは熱中症のモト!夏バテで食欲がなかったとしても、きちんと3食食べるようにしてください。

 

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その1:【現場での応急処置で対応できる軽症】
・ めまい、立ちくらみがある
・ 筋肉のこむら返りがある(痛い)
・ 汗をふいてもふいても出てくる。

対処方法:
まず、涼しい場所に避難しましょう。
衣服をゆるめ、体を冷やしましょう。水分・塩分を補給しましょう。

その2:【病院への搬送を必要とする中等症】
・ 頭がガンガンする(頭痛)
・ 吐き気がする、吐く
・ 体がだるい(倦怠感)

対処方法:
まず、涼しい場所に避難しましょう。
衣服をゆるめ、体を冷やしましょう。足を高くして休みましょう。
水分・塩分を補給しましょう。
自分で水分が摂れなければ、すぐ病院へ。

その3:【入院して集中治療の必要性がある重症】
・ 意識がない
・ 体をひきつける(痙攣)
・ 呼びかけに対し返事がおかしい
・ まっすぐ歩けない、走れない
・ 体温が低い

対処方法:
氷か水で体を冷やしましょう(首、腋の下、足の付け根など)
すぐに救急車を呼びましょう。

 

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《 屋内編 》
・ のどの渇きを感じなくても、こまめに水分補給をしましょう。
・ エアコンや扇風機を利用し、室温が28℃以上にならないようにしましょう。エアコンや扇風機が苦手な人は体に直接あたらないよう風向きを調節するなど工夫をすると、体が冷えすぎず快適に使うことができます。
・ 屋内でも風通しの悪い場所(浴室、トイレ、締め切った部屋、台所など)は要注意です。
《 屋外編 》
・ 発汗による脱水に注意しましょう。作業中、運動中は定期的に水分(塩分を含んだスポーツドリンクなど)補給をしましょう。
・ 外出時はなるべく日陰を歩き、日傘をさしたり帽子をかぶりましょう。
・ 公共施設等涼しい場所を知っておいて、いざという時に活用しましょう。

 
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1. のどが渇く前、あるいは暑いところに出る前から水分を補給しておく
ことが大切です。
2. アルコールやカフェインの入っている飲み物は、尿の量を増やし体内
の水分を排泄してしまうため、塩分を含んでいるスポーツドリンクや
麦茶などがよいでしょう。
3. 長時間の運動等で汗をたくさんかく場合には、塩分の補給も必要です。
0.1~0.2%程度の食塩水(1Lの水に1~2gの食塩)が適当です。
4. 高齢者はこまめに水分補給に努め、運動開始前にもコップ1~2杯の水を飲みましょう。ウォーキングなどの間も15~20分ごとに、100ml程度を飲むことにより体重の減少をコントロールしましょう。
5. 入浴の場合も発汗により水分が失われますので、入浴前後に水分を取り、お風呂の湯温は40℃以下のぬるめの湯に、あまり長湯にならないようにしましょう。
6. 就寝中にもかなりの水分が失われますので、枕元に水差しを置き、水分補給に努めましょう。
7. 水や麦茶は、大量に飲むと血液が薄まり、塩分低下となり、筋肉がけいれんするなどの症状(こむら返り)が出ることがあるので、注意しましょう。

【 取材協力 】
松山市保健所 健康づくり推進課
089 – 911 – 1817
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/


 

【 まとめ 】
熱中症は、ちょっとしたことで予防ができます。アドバイスをもとに、水分補給を中心にした対策を行ってください。また、利用者だけではなく介護スタッフの対策もお忘れなく!十分に注意を払い、楽しい夏を過ごしましょう!

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