2015.04.28今月のメディカサイト特集
『100年古民家から、新築日本家屋へ~古さと新しさを 調和させるということ~』
昨年11月、愛媛県初の託老所として知られている「あんき」が、お引っ越しをしました。
「あんき」を語る上では欠かせなかった“築100年の日本家屋”から移ったのは、なんと新築のおうち。
それは、利用者さんにとっても、スタッフにとっても急激な変化でした。
引っ越しから、9ヶ月…。「あんき」はどのように落ち着いたのでしょうか!?
前「あんき」は、何年も空家だった古い古い木造の家。
土間があり、廊下があり、使い古された家具があり…本当に古いお家でした。
「お年寄りにくつろいでいただくためには、古くて風通しの良い家がいい」、代表・中矢さんの考え通り、お年寄りがまるで自宅にいるかのようにくつろげる、すばらしい空間となっていました。
しかし古いお家は、永遠に保つわけではありません。
築100年となると、あらゆるところにガタが出て来ます。
耐震問題も浮き彫りなってきました。
中矢さんは、この古民家をリフォームして利用し続けることも考えましたが、リフォームは、家が古ければ古いほど大変な作業になります。
しかも、この家は賃貸で借りているもの。
それならば…と、新しいお家を建てることを決心したのでした。
新築するにあたって重要視したのは、「日本家屋」であること。
「なぜ日本家屋がいいって? それは、日本人じゃからよ」と、中矢さんは言います。
玄関では靴を脱ぐ、畳の上で過ごす…。
日本家屋にするということは、日本人が昔から行ってきた自然な動作を残すということ。
「継続する」ことが、一番大切なことなのです。
また、日本家屋にはカギを閉め切るような「個室」がありません。
あるのは襖や障子などの、簡単な仕切りのみ。
プライバシーの尊重…というと個室が安心なのかもしれません。
しかし、誰かの小さな異変にも、誰かが気付いてあげ、助け合える…
そんな開かれた空間にするためには、個室だけではなくその人にあった四人部屋があったり、その人によって選べることが重要ではないかと考えています。
また部屋のことだけではありません。
あんきは外に対しても「開かれている」というのが、ポイントでもあります。
ボランティアさんや、近所の方、利用者さんのご家族…誰もが自由に出入りできる空間。
誰にも言わず、ふらっと入って来てもいいんじゃないか?
そんな想いから、外にも内にも開かれている日本家屋が完成したのです。
ふらりとやって来られた、ご近所の牛乳屋さん。
みなさんとお話しながらひと休み。
引っ越しするに当たって、中矢さんには不安がありました。
「お年寄りは、新しい環境に馴染んでくれるだろうか」?
しかし、それは杞憂に終わりました。
引っ越し後、お年寄りはあっという間に自分の居場所をつくり、落ち着いていました。
それどころか、今の「あんき」がすっかりお気に入りの様子。
お客さんが来れば、すすんで家のなかを案内してくれることもあるくらいです。
木のぬくもりのある、明るい部屋。
自然と笑顔がこぼれます。
グループホームこんまい「あんき」で暮らしてる利用者さん。
お家のなかを案内してくださいました。
ただ単に新しくしただけでは、このように馴染んではいなかったかもしれません。
新しいものを取り入れながらも、“変わらないもの”を組み合わせる…それが大切なのです。
長年あんきを支えているスタッフであったり、昔からの日本家屋であったり、古い家具であったり…
“変わらないもの”があることで、新しいものとの調和が生まれる。
その調和を見つけるのも私たち従事者の役割なのではないか?
中矢さんは言います。
お引っ越しによって、進化を遂げることができた「あんき」。
これからさらに時を重ね、ますます居心地のよい空間となっていきそうです。
【変わったこと】
宮大工さんが建てた家。
しっかりしているのはもちろん、
随所にセンスが光ります。
少人数制で、ひとりひとりに合った
関わり方をするスタンスは変わらない。
「あんき」 通所介護事業所
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