2015.05.11今月のメディカサイト特集

第14回 全国宅老所・グループホーム研究交流フォーラム inえひめ

2月5日(土)、6日(日)の2日間、松山市総合コミュニティーセンターにて、全国の宅老所関係者による研究交流フォーラムが開催されました。
2日間に渡る、大規模なフォーラム。
講演会あり、セッションあり、分科会ありの充実な内容でした。
今回の特集では、その一部をレポートします!

 

まずはおさらい・・・「宅老所」とは…??
民家などを活用し、家庭的な雰囲気のなかで、一人ひとりの生活リズムに合わせた柔軟なケアを行っている小規模な事務所のこと。
通い(デイサービス)のみを提供しているところから、泊まり(ショートステイ)や自宅への支援(ホームヘルプ)、住まい(グループホーム)、配食などの提供まで行っているところもあり、サービス形態はさまざま。

詳細は→http://www.clc-japan.com/takurousyo_net/

 

1日目
上野 千鶴子 先生による特別講演 「最後まで在宅で」
1日目のメインイベントは、著書「おひとりさまの老後」でおなじみの上野 千鶴子 先生による公演会。
テーマは「おひとりさまの最期」。
非婚率が増加し、逆に生存子率は低下しているという今の時代。
どんどん「ひとり」で老後を迎える人が増えてきています。
おひとりさまの理想的な最期とは…??
上野先生による、社会学者目線のユニークで説得力のある見解が示されました。
脱施設化!
「待機児童ゼロ作戦」はOKだが、「待機高齢者ゼロ作戦」は要らない!
施設思考は、当事者ニーズではなく、家族ニーズ。
=「わたしのことはわたしが決める」
施設思考は時代に逆行
障害者運動に学べ!要介護高齢者の当事者運動を
介護保険をおひとりさま仕様に
最末期の集中ケアを可能に
QOL(ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質)に応じた費用負担
低所得者に対する高額ケア費用免除制度があればよい
最期まで在宅で
在宅ターミナルケアは可能
「24時間巡回訪問介護」、「24時間対応の訪問医療」、「24時間対応の訪問看護」があれば、在宅ひとり死は可能
ケアにスタンダードなんてない。すべてカスタムにするべき
暮らしを支える介護を主役に
家族に代わる代替ネットワークが必要!

その他、このようなセッションが行われました。
「日本発のケア実践
-TAKUROSHO-を考える1」
~そもそも宅老所とは
何か!~
「日本発のケア実践
-TAKUROSHO-を考える2」
~住み慣れた地域で暮らし
続けるための支援とは?~
「日本発のケア実践
-TAKUROSHO-を考える3」
~宅老所の役割と
制度のあり方~



【対談者】
井戸端介護(千葉県) 理事長
伊藤英樹 さん
全国コミュニティライフサポートセンター 理事長
池田昌弘 さん
【パネラー】
鹿潮の家(兵庫県) 所長
寺坂 智子 さん
すずの会(神奈川県) 代表
鈴木 恵子 さん
【コーディネーター】
神戸学院大学総合リハビリテーション学部 准教授
藤井 博志 さん
【パネラー】
ハート in ハートなんぐん市場
(愛媛県) 理事
長野 敏宏 さん
松山市保健福祉部介護保険課 課長
高橋 寛 さん
栃木県保険福祉部高齢対策課 課長
山中 晃 さん
熊本県保険福祉部 部長
森枝 敏郎 さん
厚生労働省老健局 課長補佐
黒岩 嘉弘 さん
【コーディネーター】
日本福祉大学社会福祉学部 教授
平野 隆之 さん



2日目

分科会

2日目午前中は、4つの部屋に分かれて分科会。
学びたい分野の分科会に参加して、情報交換を行いました。
分科会1 宅老所の魅力! 教えます
~もっと自由に、もっと自分らしく、その人らしさを支える~
特定非営利活動法人「はなのいえ」、「(有)リベット デイサービスセンター池さん」「通所介護事業所 玄玄」の実践報告を中心に、それぞれの施設が想う「宅老所の魅力」について語り合いました。
分科会2 いつまでも安心して暮らせる地域のあり方
~みんなで支え合う地域包括ケアシステム~
地域全体で、高齢者を支えるには?
いつまでも住み慣れた地域で暮らし続けるためにできることとは?
地域で実践している活動やシステムづくりについて、発表しました。
分科会3 団塊の世代の生き方・死に方・支え方
あと数年で、団塊の世代が高齢者になります。
そのとき、高齢者をどう位置づけるべきなのか?
豊かな高齢期を実現するためには…?
それぞれが取り入れているプロジェクトについての報告を行いました。
分科会4 人の元気は地域の元気
人が集まるしくみづくり、高齢者の活動を広めていく工夫etc…地域を元気にするために行っていることを発表し、気になることを質問し合いました。

まとめのセッション
伊予の国発「縁(えにし)と絆(きずな)が生命線
~縁ある暮らしでよりよく死ぬる~」
フォーラムのラストをしめくくったのは「まとめのセッション」。
宅老所の先駆者、富山県「このゆびとーまれ」代表の惣万 佳代子さん、愛媛の宅老所といえば…の「宅老所あんき」代表の中矢 暁美さんの実践を中心に、愛媛県保険福祉部生きがい推進局長寿介護課 課長 藤岡 俊彦さんによる「介護制度の改革について」、厚生労働省老健局 課長補佐 黒岩 嘉弘 さんによる「介護保険の給付と負担をめぐる議論について」、の報告がありました。
【このゆびとーまれ】
託老所での最期について、

どんな死に方を望むか、本人・家族・医師・管理者・職員で話し合いをする。
心臓マッサージをしない
救急車を呼ばない
治療は最低限のみ
なるべく畳の上で大往生

など、「看取り」の考え方について報告されました。

【宅老所あんき】
スタッフの家族の「看取り」ドキュメンタリーを上映。
自然の音、自然のなかで死んでいく尊厳のある死に方とは…?
家族が、「死」を通じて、「命がつながること」を感じること、家族のなかで、地域のなかで死にゆく幸せについて考えました。

まとめ
今回のフォーラムでは、「伊予の国発~縁と絆が生命線~」をテーマに、住み慣れた地域での暮らしを支え続けてきた宅老所の実践を中心に、高齢者や家族が望まれている地域での暮らしを実現するための方策を、行政機関の方々も含め、多くの方々とともに、幅広く考えることができました。

NHKでも放映されたように、今の世の中は「無縁時代」と言われていますが、縁を結び、つなぎ、広げて、みんなが支え合える世の中になれば・・・きっと安心して、地域でいつまでも暮らしていけるはずです。

宅老所の取り組みは、介護の基本の考え方です。
フォーラムをきっかけに、様々な介護施設でも、宅老所の考え方を取り入れ、安心して暮らせる世の中が広がっていくことを願っています。

 


 

全国宅老所・グループホーム研究交流フォーラム 事務局
〒981-0932
宮城県仙台市青葉区木町16-30 シンエイ木町ビル1階
TEL 022-727-8731 FAX 022-727-8737
ホームページ
http://www.clc-japan.com/takurousyo_net/
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