2015.03.09今月のメディカサイト特集
これからは「どこにでもいる社会福祉士」という時代へ
愛媛県社会福祉士会
会長 山本 豪 さん
(在宅介護支援センターふたば荘)
地域医療、地域福祉の時代となり、ますます活躍の場が増えてきている社会福祉士というお仕事。
老人、医療、障害、児童、行政と、様々な場所で皆様のご相談にお応えしています。
そんな社会福祉士というお仕事や活動について、愛媛県社会福祉士会の山本会長にお話を伺いました。
--社会福祉士というのはどのようなお仕事でしょうか?
(山本)
ある本に、
○法曹関係者は、社会的弱さに関わる専門職。
○医師は、肉体的弱さに関わる専門職。
○聖職者(牧師など)は、精神的弱さに関わる専門職。
○ソーシャルワーカー(社会福祉士)は、生活的弱さに関わる専門職。
と書かれています。
私は、このたとえがとてもわかりやすいと考えています。
(第一章ソーシャルワーカーと権利擁護「ソーシャルワークと権利擁護“契約”時代の利用者支援を考える」35頁、権利擁護研究会=編、中央法規、2001年6月10日 )
社会福祉士の仕事には、2つの「きづく(きずく)」があると思います。
まずは、相談される方、医療、介護、地域のなどの課題に「気付く」ことからはじまります。
その課題を解決するために、関係機関や役所や地域、医師や看護師やPT・OTなどの各スタッフと連携をとって、関係を「築く」ことにつながっていきます。
この2つの「きづく(きずく)」があって、初めて、相談される方の支援ができるようになります。
従って、社会福祉士とは、生活的弱さを持った方々のために、様々な制度や法律、ネットワークを使って問題解決のお手伝いをする仕事ということができます。
--山本会長が社会福祉士になられたきっかけを教えてください。
(山本)
私の場合、はじめから社会福祉士になろうという熱い思いはなかったし、社会福祉士という「像」も、いま一つよく分かりませんでした。
大学時代は、まじめな学生ではなかったし、社会福祉という学問についても、キチンと勉強したことはなかったように思います。
かっこよく言えば、福祉の勉強よりも社会勉強に専念していました。
(わかりやすく言えば「遊ぶことに専念」と言えますが・・・。)
そのツケが回ってきたのは、就職してからです。
就職して社会福祉の仕事に携わるようになって、初めて資格が「モノ」をいうことを痛感しました。
相談業務をする上で、社会福祉士という国家資格に必要な専門分野の基礎知識が必要だ、ということを実感しました。
資格を取得しても、それだけで大きな顔もできないとも思いましたので、いろいろな情報を得るために研修会に参加して自己の研鑽を積んだり、個人的なネットワークづくりをしたりするように心がけています。
また、本を読むことでいろいろな見聞を深めることにも努めています。
本といっても福祉の専門書だけではなく、雑書(いわゆる専門分野以外の本…)も良く読みます。
社会福祉士という仕事は、幅広い年齢層、様々な考え方を持った方、そして様々な職種の方と接します。
価値観の違う方々の相談について支援をしていくためにも、様々なことに関心を持ち、考え方の多様化を求めています。
専門知識はもちろん大切ですが、それだけでは中身のある仕事はできません。
様々な年代、様々な職種、様々な考え方の人と会話をすることが、社会福祉士としての仕事の役に立ってくると思います。
また、(経験の長短で、仕事ができることもあるかも知ませんが)これからの時代は実践の裏付けをキチンと説明できるような説明と、そのための勉強が必要だと思っています。
--愛媛県社会福祉士会はどのような活動をされているのでしょうか?
(山本)
社会福祉士会に所属している会員は、老若男女を問わず、会員の活躍の場は、老人、医療、しょうがい、児童、行政…実に様々です。
特定の会員だけが「実」になる研修ではなく、誰もが持ち合わせておく必要がある共通基盤となる六領域(「福祉権利」「生活構造」「対人援助」「地域支援」「福祉経営」「実践研究」)を中心として会員に向けての研修を企画して運営しております。
そこで得た知識や技術を、各会員が自らの職場に持ち帰って活かしていただきたいと思います。
研鑽を積んで自分たちが仕事でそれを実践することが、結果として地域で生活する方々への支援につながればと思っています。
ただ、会員のためだけの研修にとどまらず、広く一般の方々への研修会を企画したりする機会が、ここ最近増えております。
他にも、組織として県内の関係機関との連携をはかったりもしています。
県庁、市町等の行政機関をはじめ、職能団体の組織との連携強化にも努めております。
特に医療保険福祉関係機関との連携は、今後ますます必要なことだと考えております。
一方で、我々の仲間になる社会福祉士を目指している学生に対しても、連携をはかるような取り組みをしています。
具体的には、県内にある社会福祉士養成学校との連携、特に学生への社会福祉士としての仕事内容や今求められている社会福祉士の実像などを伝えることなどもしております。
--一般の方でも参加できるセミナーや研修会があると聞きましたが?
(山本)
はい、今はまだ数が多くありませんが、一般の方々でも参加できる研修会などを企画しております。
詳しくは本会のホームページ(http://www.h3.dion.ne.jp/~eacsw04/)を御覧いただくか、自らが会員になっていただくことも可能です。
準会員制度といいます。
その前に少し説明を加えますと、我々社会福祉士国家資格を有するものは、(社)日本社会福祉士会に正会員として所属することで自動的に愛媛県社会福祉士会にも所属するという一連の流れがあります。
正会員であれば、本部が主催する全国規模での研修会に参加できたり、国の動向と本会の動向などを逐一知ることができます。
本会は、国際ソーシャルワーカー連盟にも加盟していますから、結果として、正会員であれば国際ソーシャルワーカー連盟の一員ということにもなります。
非常に規模の大きな話になりますが、グローカルに活動をすることを目指しています。
※ 「グローカル」とは、「グローバル」(=GLOBAL・地球的という意味)と「ローカル」(=LOCAL・地方的、地域的という意味)を掛け合わせた造語です。
つまり「グローバルに考え、ローカルに行動しよう!」というスローガンをひとことであらわした言葉が「グローカル」(=GLOCAL)です。
さて、準会員とはどういう位置付けなになるのかということですが、この会員制度は愛媛県社会福祉士会が独自に規定した会員扱いです。
つまり本会の正式な活動や全国的な研修などには参加ができなかったり、中央情勢の情報は十分に入ってきませんが、愛媛県内の準会員になれば、愛媛県社会福祉士会が県内で行う活動については、正会員と同様の扱いで研修会に参加できます。
当然、愛媛県社会福祉士会の事務局通信も正会員と同じように入手できることになりますから、県内の研修会などを逐一知ることができます。
ちなみに、準会員になれる条件は以下の三点です。
○社会福祉士養成学校に在籍するもの。
○社会福祉士試験の受験資格を有する者。
○その他本会が特に入会を認めた者。
現に、社会福祉士という資格に関心がある学生が入会していたり、福祉に関係する関係者の方々が多く入会して、本会が企画する研修会に会員として参加しております。
--いろいろなご相談をしたいときには、どのようにすれば良いのでしょうか?
(山本)
愛媛県社会福祉士会の活動については、事務局までご質問ください。
また、何か困ったときや、相談したいことがあれば気軽に愛媛県社会福祉士会に連絡をしてください。様々なご相談をお待ちしております。
--最後にひとことお願いします。
(山本)
これからは、「どこにでもいる社会福祉士」という時代になってくると思います。
社会福祉士が、身近な存在として、知ってもらえる存在になればと願っています。
これから社会福祉士を目指す方にひとこと。
最初にも述べましたが、いろんなことに関心を持ってほしいと思っています。
その一つとして、専門書以外の雑書を多く読んでいただきたいと思います。
平たく言えば、『いろいろな「ところ」で、いろいろな「人」と、いろいろな「話」をしてほしい』と思います。
そして、その人の価値観を受容してほしいです。
その経験が、将来に役立つ、すなわちご相談者のお役に立てるための原石の一つだと思います。
愛媛県社会福祉士会
(事務局)
791-8012
愛媛県松山市姫原2丁目3-21 NPO法人家族支援フォーラム内
TEL 089-922-1937
FAX 089-924-8992
e-mail eacsw@s4.dion.ne.jp
ホームページ http://www.h3.dion.ne.jp/~eacsw04/