2025.04.17メディカサイトコラム
総務省の人口推計から考える、これからの介護業界と戦略

最近、介護業界で意見交換する中でよく出てくる話として
・お客様である利用者(入居者)はまだまだいる(介護施設不足)
・しかし、働いてくれる介護職員は足りない(介護施設過剰)
新規の介護事業所を立ち上げるのは
ビジネス的にはチャンス
しかし、介護職員確保の点で言えばリスク
この状況の裏付けデータが、4月14日に発表された総務省の人口推計でよくわかります。
これから毎年、100万人弱の日本人が減っていきますが
これから10年の介護業界的目線で考察してみます。
過去最大、日本人89万人減 24年推計で1億2029万人
総務省統計局 人口推計(元データ)
今回の人口推計をまとめると
・0~14歳 34万3千人減 1383万人
・15~64歳 22万4千人減 7372万8千人
・65歳以上 1万7千人増 3624万3千人
・75歳以上 70万人増 2077万7千人
となります。
大きなポイントは
税金や社会保険料を納める「15~64歳」が22万人減って
年金・医療・介護を利用する「75歳以上」の後期高齢者が70万人増えた
ということです。
言い換えると
労働人口の「15~64歳」が22万人減って
医療・介護が必要な「75歳以上」の後期高齢者が70万人増えた
ということにもなります。
まさに、先に述べた
・お客様である利用者(入居者)はまだまだいる(介護施設不足)
・しかし、働いてくれる介護職員は足りない(介護施設過剰)
を証明する良いデータです。
これは、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる
いわゆる「2025年問題」が原因です。
ここで、注意して見なければならないデータがあります。
・65歳以上 1万7千人増 3624万3千人
75歳以上は70万人も増えていますが、
65歳以上の人口で見ると、ほぼ変化がないのですよね。
第1時ベビーブーム世代のカウントゾーンが変化しただけ。
つまり、これからの65歳以上の人口は
よほど平均余命が伸びない限り、増加することはなくなります。
1年後の2025年の統計ではおそらく
・75歳以上の人口は更に増える
・しかし65歳以上の人口は同じまたはわずかに減少
という状況になると推定されます。
つまり
・お客様である利用者(入居者)がジワジワと減少してくる
時代に入ってくるということですね。
世の中で唯一未来予測ができるのが「人口動態」です。
予定より、少し早く予想未来が近づいてきていますが、本当に外れないですね。
このようなマクロデータは
今後数年の事業計画を立てるには役に立ちませんが、
今後10年20年の事業計画を立てるためには、絶対に必要な超重要データになります。
この時代の中でどのように勝ち残っていくのか?
どのように良質な介護サービスを提供し続けていくのか?
未来をベースに考えると、戦略・戦術が明確になってきます。
全(業界全体)から個へ。
メディカサイトのご支援方法も、これから変わっていきます。