2020.11.02今月のメディカサイト特集
『里山たかのこOKカフェ』体験レポート

9月25日(火)に開催された、『里山たかのこOKカフェ』に訪問してきました。
筆者である私は、まだあまり介護業界に明るくありません。
「認知症って、どういった状態なのだろう?」
「私が、認知症の方にしてあげられることは何だろう?」
今回は、とてもまっさらな状態からのイベント参加です。
『里山たかのこOKカフェ』は、松山市地域包括支援センター小野・久米と、グループホーム里山の協働開催でした。
「OK」は、Ono(小野)とKume(久米)の頭文字をとってOKカフェとしたそうです。!OKという、肯定的な響きも素敵ですね。
「里山」は、グループホーム里山の上にある地域づくりの拠点となっている小高い山が「里山」と呼ばれ、親しまれているから名付けられたそう。
つまり、里山・たかのこ・小野・久米はどれも地名を指していて、「地域ぐるみで行おう!」という気持ちの詰まったネーミングなのです。
里山たかのこOKカフェは、いわゆる「認知症カフェ」。
もともとはオランダのアルツハイマーカフェから始まったといわれていて、厚生労働省による認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」の、
「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する」という目的に沿った、良い取り組みの一つです。
認知症に不安がある方や、そのご家族・ご友人などが誰でも訪れることができ、地域の方や専門職の方との交流の場、支援の場とになるように、と開催されました。
イベントの、三つの目的は
①来場者が安心して過ごせ、心地よい体験を得ることができる場づくり
②認知症や介護の情報を提供、専門職に気軽に相談できる場づくり
③来場者全員が認知症や介護を学び、認知症ご本人の視点を学び・気付きを得る
でした。 『里山たかのこOKカフェ』体験レポート
スタッフさん曰く、大事にしたポイントは「来場者の水平な関係」と「敷居を低く」したことだったそうです。
来場者には、同席された専門職や地域代表の方は、主任介護支援専門員さん・保健師さん・介護福祉士さん・認知症介護指導者さん・福祉専門学校教員さん・民生児童委員さん・傾聴ボランティアさんなど、多種多様!
他の来場者さんは、認知症当事者の方、認知症が気になる方、介護者、知人・友人、団体としては、地域の事業所・社会福祉協議会・地域包括支援センターさんなどが訪れていらっしゃいました。
本当の定員は80人でしたが、新型コロナウィルスの影響で半分の40人を最大受け入れ人数としたそう。
当日は37人の参加がありました。
テーブルは6つ用意してあり、各テーブルに6人ほどが空間を空けて座ります。
雰囲気は、大人のお洒落なカフェテリア。普段、街のカフェに行きにくい方々にもその雰囲気を味わってもらうようにとの配慮だそうです。
開催場所は、鷹子公民館。
今回の開催時間は14時~15時を設定されました。
大まかなタイムスケジュールは、
①カフェメニューでのくつろぎ
②ミニコンサート
③認知症のミニ講話
④相談タイム
その後は各自、自由解散といった流れです。
提供されたドリンクメニューは、全6種類。
ホットコーヒーは、カフェスタッフが心を込めて、3日前に焙煎したコーヒー豆をその場で挽き、丁寧に淹れたという本格的なもの。
アイスコーヒー、アイスカフェラテ、紅茶、果実が入ったレモンスカッシュ、ブルーハワイ(ノンアルコールカクテル)もありましたよ。
久万町の湧水「博士の水」を沸騰させて冷やしたものをお冷として提供するなど、凝っていました!
皆さんが楽しみにされていた『おやつ』は、黒糖蒸しパンとプリンアラモードの2種類。
フラッグの刺さった可愛い黒糖蒸しパンは、小ぶりながらモチモチしていて、食べ応えがありました。昔ながらの優しい甘さで、とても美味しかったです。
ちゃんと蒸し器で蒸してらっしゃるそうですよ!
こちらのメニュー、認知症当事者の方も一緒にウエイトレスとなり、注文を聞きにきてくれました。
わかりやすいように番号で注文を控え、一つ一つ丁寧にこなしておられましたよ。
グループホーム里山さんのスタッフさんがウエイトレスさんの手を引いて、やさしくサポートされていました。
ウェイトレスさんの笑顔も素敵です!
ご本人も「楽しい」と仰られていて、楽しみながら作業されているのが分かります。
ミニコンサートは、ジブリの「耳をすませば」からカントリーロードと、朝ドラの主題歌365日の紙飛行機。
どちらも有名曲だったので、皆さん手拍子をしながらニコニコと演奏に耳を傾けられていました。
口パクで一緒に歌われている方もいらっしゃって、楽しんでいる姿が見受けられてほっこり。
介護支援専門員さんであり、学校で講師をされることもある認知症介護指導者の小椋さんによる「記憶を支える工夫」というミニ講話も、とても勉強になりました。
「人の覚えられる許容量は、あまり多くない。だけど、工夫次第でどうにかなるものですよ、大丈夫」と小椋さん。
優しく穏やかな口調で、日常生活のポイントを教えてくださいました。
教わった中で、筆者が気を付けなくては!と感じたのは「睡眠」。圧倒的に足りておらず、常に脳が疲れた状態にあり、パフォーマンスが悪すぎるのが自分でも分かります。
認知症は特別なことではなく、誰もがその可能性をもっている。だからこそ、来るべき日のために備えておくことの大切さや、地域ぐるみでそういった症状の出た方の肩に優しく手を添えられるような環境作りが大切なのですね。
その一環としての今回の認知症カフェでは、小椋さんをはじめ、たくさんの専門家さんの元へ、たくさんの方がご相談されていました。
「ほんの些細なことでもいいですから、お話されると安心できますよね。」
「心地よく過ごせて、話しやすい交流の場を、今後も継続して開催できたらと思っています」とスタッフさんは笑顔で話されていました。
この冬、第2回目が開催予定です。
『里山たかのこOKカフェ』
開催日:令和2年12月22日(火)
開催時間:14:00~15:00
参加費:無料
開催場所:鷹子公民館(松山市鷹子町632)・事業所等4拠点
「オンライン」で開催します
お申込み締め切り:12月11日(金)
お問い合わせ先:松山市地域包括支援センター小野・久米
電話番号:089-970-3761
どなたでも、気軽に参加できますよ。
専門職の方にお話が聞けるチャンスです。
気になっていること、日ごろのお悩みをお話してみたらいかがでしょうか?