2023.08.30メディカサイトコラム
「命」を預かるプロのお仕事
先日、富士山登山ツアーに行ってきました。
富士スバルライン五合目→吉田ルート→山小屋泊→山頂→お鉢巡り→山小屋泊→富士スバルライン五合目
という、初心者向けの2泊3日のツアーです。
23人のツアー客に、添乗員1人、ガイド2人の計3人がサポートしてくださる体制です。
本当にお世話になりました。
初心者向けツアーのため、参加者は私が下から2番目の年齢となるぐらい、比較的年齢層が高い方々です。
最高齢は70代後半の方でした。
最近のニュースでは、富士山の「弾丸登山」の危険性が話題となっていますが、
富士山登山は、
・標高差約1400mの登山(スタート時点で標高2300m)
・低い気圧
・薄い酸素(山頂で地上の2/3の酸素濃度)
・落石の危険性あり
・転落の危険性あり
の環境を登っていきます。
道や設備が整備された観光登山ではありますが、ある意味、命懸けです。
ガイドは
・全員が登頂できるよう支援
・無理な場合でも、一定エリアまで楽しんでもらう支援
・高山病のリスクを避ける
・落石や転落のリスクを避ける
・適切な情報提供
・参加者のモチベーションの維持
・体調が優れない場合の迅速な措置
・万一の状況が起こらないための十分な準備、指導
・他のツアーや、山小屋の状況との調整
などの重要な業務を行っています。
ご存知の通り、富士山の観光登山は期間が短く、7月上旬~9月上旬のわずか2ヶ月しかありません。
富士山ガイドの仕事は、期間限定ですので、毎年、その時期だけ招集されます。
従って、山岳部や登山部など、大学生の夏季休暇を利用して参加される方が大半です。
つまり、20歳~22歳の若い方が多いのが現状です。
聞いたところ、1回ガイドに入っていくらという歩合制でした。
皆さんが、20歳~22歳の頃って、どのようなアルバイトをされていましたか?
目の前の人の命がかかっている仕事、しかも自分がそれを取り仕切る仕事、というのはあまりないのではないかと思います。
ずっと、ガイドの方の仕事ぶりを拝見しておりましたが
・目配り、気配り、心配りが行き届いている
・万一のことが起こらないための、しっかりとした準備(荷物の重さだけでも私たちの倍以上)
・参加者一人ひとりの状況把握と、的確な声掛け
・ツアー客以外の登山者に対する気配り、安全配慮
・山小屋の業務がスムーズにいくための気配りと調整
・体力低下、転倒、高山病の発症、膝の痛み、体調不良等に対する迅速な対応
などなど、本当に感動するような、立派な仕事ぶりでした。
普段から「山」という命に関わる場所で活動しているからなのか、そもそもの本人の性格なのか、プロ意識なのか?
ガイドのお2人とも、1秒たりとも気を抜くことのない、大学生とは思えない素晴らしい対応で、惚れ惚れしました。
さて、私たちの「介護」の仕事も、日々、利用者さんの「命を預かる」仕事、「生活を支える」仕事です。
何気ない日々の日常が繰り返されているように思うこともありますが、毎日、毎秒が「命を預かる」重要なお仕事です。
あらためて「命」と向き合っていることを認識することが重要だなと思った次第です。
ちなみに、余談です。
【富士山ガイドの採用方法】
・一定の登山経験が必須
・基本的には先輩からの紹介(リファラル採用)
・面接(不採用となることもある)
・採用後、しっかりとした研修
・お客様からよく質問される富士山Q&Aは、専用アプリですぐに調べられる
やっぱり、採用と研修って大切だなぁ、とあらためて思う次第です。