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>>今月の特集
「学ぶための介護」から「自分が受けたい介護」へ
愛媛県在宅介護研修センター
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松山市末町の石手川沿いの、緑に包まれた壽晴らしい環境の中に、
愛媛県在宅介護研修センターはあります。
「愛と心のネットワーク」づくりの理念のもとに、
平成16年4月より、介護研修事業を行っています。
「自分が受けたい介護」を目指して、活動を続けている研修センターについて、
初代研修室長 金田 由美子さんに、お話を伺いました。
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−−愛媛県在宅介護研修センターがつくられた
目的を教えてください。
(金田)
愛媛県では、県民がお互いに助け合い支え合う「愛と心のネットワーク」づくりを提唱していまして、その理念に基づく「地域ケア体制」の実現に向けて取り組んでいます。
在宅介護研修センターを設立した目的は、介護ボランティアなどを育成することや、高齢者介護に携わる人に対して、介護を受ける側の立場に立った新しい理念に基づく研修を実施することです。
「高齢者一人一人の尊厳を支えるケア」が確立される社会をつくるために活動しています。
愛媛県はこの研修センターの特性を十分生かすために、指定管理者制度を導入しました。
書類選考やプレゼンテーションの結果、
私たち 「NPO法人 愛と心えひめ」 が、
その委託を受けることになりました。
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−−愛媛県在宅介護研修センターではどのような活動を行っていますか?
(金田)
委託事業として行われている研修は、介護講座・ボランティア講座など在宅介護を支えるためのプログラムを中心に企画しています。
また、研修センター内には、研修で学んだことを実践できる場所として、デイサービスをNPO法人の自主事業として行っています。
(デイサービス 愛と心えひめ です。)
NPO法人の自主事業はデイサービスの他に、居宅介護支援事業所と介護保険事業外の緊急ショートステイとしての宅老を行っている介護部門と、研修とは一味も二味も違った内容のセミナーを企画する研修部門があります。
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−−研修はどのような内容となっていますか?
(金田)
愛媛県在宅介護研修センターの研修で面白いところは、介護のプロから、一般の方まで、同じ話を一緒に聞けるということが挙げられます。
講師の先生にも、特定の職種に向けて話すのではなく、「自分が受けたい介護」について話をしてもらうようお願いしてあります。
研修の話の奥には「介護を受けている自分」がいるため、どういう話をするべきなのか、また、どういう話をしてもらいたいのかということについて、研修プログラム作成にはかなり力をいれて作成しております。
入浴セミナー、介護の技教室、摂食コミュニケーション、リラクセーション法、介護保険制度の解説など、幅広い講座を準備しております。
研修プログラムは、愛媛県在宅介護研修センターのホームページからご覧頂だければと思います。
http://home.e-catv.ne.jp/e-zaitakukaigo/
研修センターは民間の遊休施設であった保養所を改築して使用しているため、採光の工夫がされている明るいモダンな建物となっています。
石手川のほとりにあり、研修に訪れた方からは感嘆の声が上がるほど、すばらしい環境で研修を受けることができます。
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−−出前講座というのがあるそうですが?
(金田)
愛媛県在宅介護研修センターは、松山市にありますが、センターに研修を受けに来ることができる方は限られてしまいます。
愛媛県は南予から東予まで横に長く、遠方の方が松山市まで出てくるのは大変です。
特に、在宅介護や地域のボランティアなどを行っているスタッフは、地元から離れて、研修に出向くのは大変です。
研修を受けにくることが難しいのであれば、こちらから出向こうということです。
いろいろな地域で、いろいろな話を聞いてもらいたいという思いから、ご依頼があれば各地に出向いて研修を行っています。
テーマに合わせた講師派遣もいたしますが、研修室長・伊東寛も、専任講師・金田由美子もどこへでも伺います。
ボランティア講座、介護講座、介護保険の制度勉強会など、地区社協、公民館、自治会、老人会等、どのような集まりでもかまいません。
詳しくは、愛媛県在宅介護研修センターまでお問い合わせください。
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−−研修施設のお風呂やトイレなどにこだわりがあるそうですね?
(金田)
年をとって足腰が弱くなったときに、「もう介護用のお風呂やトイレしか使えなくなったんだ」ということがないような設備を準備しています。
「広くて手すりだらけのトイレ」 「裸を天井に向けて入る機械浴槽」 などではなく、シンプルな今までの暮らしの延長線上で暮らしていける設備と理念を伝えたいと思います。
研修プログラムの中には「入浴セミナー」があり、毎月1回から2回行っています。
お風呂は2つあり、どちらも半埋め込み式の檜の浴槽です。
お湯は「奥道後温泉」のお湯を引いています。
入浴介護の技を学べば、足腰が弱い方でも、普通の浴槽に入ることが可能です。
バリアフリーで介護を学ぶと、バリアフリーのところでなければ介護ができなくなってしまいます。
それでは在宅介護はできません。
センターでは、リフォームの参考になる箇所がお風呂やトイレ以外にも何ヶ所かあり、多くの方が見学に来られます。
例えば、通常でしたらスロープにするところに、車椅子用階段を設置しています。
車椅子での移動も、きちんとした介護技術を学べば、スロープより階段の方が安全です。
30cm程度の玄関の上がりかまちは、上り下りができるようにもなります。
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−−宿泊設備も整っているそうですね。
(金田)
もと保養所ですので、宿泊できる和室が3階に5質、4階に3室あります。
3階部分は研修に来られた方の宿泊施設、4階部分は宅老所に使用しています。
檜の浴槽に「奥道後温泉」が引いてありますので、皆様にとても喜んでもらっています。
愛媛県内の方が研修を受けに来られるときに、宿泊が必要な場合には、ご希望により宿泊することができます。
費用としては、基本料金1,500円(寝具リース料1,000円、諸雑費500円)、食事その他は打合せにより実費となっています。
高齢者と介護者の同伴研修や、介護家族のふれあい研修として利用していただければと思います。
高齢者と介護者が宿泊して研修を受けられる場合は、研修センターのスタッフが入浴介助をお手伝いしながら、個別に入浴セミナーという形で研修を受けることができます。
介助の技術さえ学べば、麻痺がある方でも、足腰が弱い方でも、普通のお風呂に入れるということを体験していただければと思います。
入浴以外にも介護相談に応じながらの個別研修となりますので、研修後、在宅での介護にもつながります。
研修とはいっても、研修という名目で温泉旅行を楽しんでいただき、介護する側・される側のリフレッシュができれば、それが一番と思っています。
これまで何組ものご家族に利用していただきましたが、とても喜んでいただいております。
また、施設旅行で入所者と職員が一宿一飯を共にするということは、どんな介護研修よりも関わり方を学ぶ上で効果があります。
介護の利用者とともに行ける旅行先というのはなかなか難しいものです。
愛媛県在宅介護研修センターは、とてもよい条件が整っています。県内の方々は、ぜひ、ご利用いただければと思います。
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