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>>今月の特集
施設の新設ラッシュで、介護業界は超求職者不足の状況に陥っています。
お金?やりがい?成長?仲間?働きやすい企業とは何なのか?
2つの制度に取り組む介護企業を紹介しながら、働きやすさについて考えます。
2016年12月6日、厚生労働省は、労働条件が劣悪なブラック企業からの求人を、ハローワークで拒否できる制度に関して、現行の新卒求人だけでなく、中途採用やパートなど全ての求人に対象を拡大する方針を固めました。
今後は、行政指導に従わない悪質な企業の社名公表制度も新たに設ける予定。
2017年の通常国会で関連法を改正し、3年以内の実施を目指しています。
求人拒否の対象は、
・残業代不払いなどの法令違反を過去1年に2回以上繰り返す企業
・セクハラで社名公表された企業等。
新卒求人を対象にした同制度は、2016年3月から始まっています。
逆に、入社した社員が働きやすい環境を整えているホワイト企業を応援するしくみも、以下のように用意されています。
「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣から認定を受けると、「くるみん認定」を受けることができ、くるみんマークを得ることができます。
【 くるみんマーク・プラチナくるみんマークとは? 】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/
平成28年9月末時点で、2,657社が認定を受けています。
さらに、平成27年4月1日より、くるみん認定を既に受け、相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な取組を促進するため、新たにプラチナくるみん認定がはじまりました。
こちらは、平成28年9月末時点で、106社が認定を受けています。
プラチナくるみん認定を受けた企業は、「プラチナくるみんマーク」を広告等に表示し、高い水準の取組を行っている企業であることをアピールできます。
愛媛県の認定企業は、現在くるみん 40社、プラチナくるみん 0社。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/jisedai/kijuntekigou/index.html
2012年、介護業界では初期に、くるみん認定を受けたのが株式会社ライフネットです。
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(お話をきいた人)
株式会社ライフネット
吉田雄大 社長
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私自身、子育てをしているので、ときどき予定を調整して、学校の行事に参加することがあります。
私は、ほかのスタッフもどんどん有休をつかって子育てに参加していけばよいと思っているのですが、現場に立つスタッフはまわりに
気を遣ったりと、簡単には取得できないのが現状でした。
そんなとき、男性社員より「1週間の育児休業を取りたい」という相談があり、本格的に育児休業が取りやすい会社を目指すことになりました。
就業規則を見直してみると、育児休業は最長3年。 |
これを社員に周知徹底することが大切だと感じました。
それまでは女性の場合、出産=退職 という傾向がありました。
「出産後に帰ってくることはできませんよね?」という相談は、すなわち「いったん退職しないといけませんよね?」という質問と同じです。
スタッフを育てていくうえで、子育て世代と会社のマッチングは必須です。
積極的に育児休業の取得を勧め、雇用保険や社会保険の手続きも自分達で行い学んでいくことにしました。
それから、出産に関して退職した人は一人もいません。
会社的にも、仕事や人間関係に慣れた社員が戻ってくれるのはありがたいこと。
そもそも、帰ってきたい!と思っている人は会社で働くことを希望している人であり、そのような人と一緒に仕事をしたい!
男性も女性も、生活と仕事の両立がしやすい会社、育児休業が取りやすい社内文化づくりをしていきたいです。
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(お話をきいた人)
丸山百合子さん
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出産の1ヶ月前から産休をとり、子供が1歳1ヶ月になるまで育休を取りました。
最初はどうしても、休みたいけれどまわりに迷惑をかけるのでは?という気持ちがありましたが、まわりのスタッフも協力的で安心してお休みすることができました。
今も、こどもが風邪をひいたりすると急遽休みを取らないといけないこともありますが、「うちらも子どもがおるから、分かるよ!」
「お母さんは一人しかおらんけん。こっちは大丈夫よ。」など、優しい声をかけてくれるのでとても働きやすいです。
会社に連れてくることもあるのですが、子どももみんなにかわいがられています。 |
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子どもの出産の時期に、家が建ち、引っ越しが重なることになりました。
妻は産後で動けないので、引っ越しの手続きなどを自分でしないといけない状況となり、育休を申請。
ゴールデンウィークに合わせて1週間の休みをとりました。
土日だけでは手続きが難しいものもあるので、平日もあわせて余裕をもって動くことができ、とても助かりました。 |
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(お話をきいた人)
大坂晃司さん |
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1.介護事業は人員基準があるため、育児休業を取得すると、新たな人を雇用しなければいけません。
すなわち、帰ってきたときに人件費が増えることとなってしまいます。
幸い、人員基準より多く採用しているため、人を増やすのではなく、人員基準を満たしながら、1日の流れを組み替えて運営、それが業務改善にも繋がることとなりました。
2.育児休業中は会社から給与が出ません。そのため、まとまった休みが取りにくいという難点があります。
(雇用保険、社会保険の育児休業給付金を除く)
3.介護職の場合、育児休業を取得しやすいのですが、リハビリ職や看護職など、代わりが利かない職種は、育児休業を取得しにくいというのが現状です。
2.と3.の2点をクリアできるならば、どんどん育児休業を取得してほしいです。
弊社では、イクメン活動にも取り組んでいます。休みたい人が休みを取りやすいよう、周囲が応援しやすい仕組みづくりをしていきたいです。
【 企業情報 】
株式会社ライフネット
http://lntkanri.wixsite.com/lifenet
【 メディカサイト掲載施設 】
デイサービスほうじょう
https://www.medica-site.com/shisetsu_detail.php?recid=15
サービス付き高齢者向け住宅 ライフネット彩果
https://www.medica-site.com/shisetsu_detail.php?recid=974
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度に、「ユースエール企業認定」という制度があります。
取得した企業の情報発信を後押しすることなどにより、企業が求める人材の円滑な採用を支援し、若者とのマッチング向上を図ります。
【 ユースエール認定企業とは 】
<ユースエール認定企業とは>
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/staticpage.action?action=ouensengen#youthyale-area
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html
<ユースエール認定企業になるには>
愛媛県で認定されているのは2社のみ。
第1号目が、有限会社 やわらぎ。
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/portalkigyodetail.action?action=show
Detail&kigyo_id=12672
第2号目が、社会福祉法人 松野町社会福祉協議会です。
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/portalkigyodetail.action?action=show
Detail&kigyo_id=15178
今回は有限会社やわらぎさんのお話を伺いました。
(お話をきいた人)
中山尚子さん
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平成28年春、新卒者を募集するために、青少年雇用情報シートをハローワークに提出したのがはじまりでした。
そのシートには、有給取得に関して、残業に関して、離職者に関して記入する項目があり、弊社の現状をそのまま記入したところ、「ユースエール認定企業に当てはまるのでは?」と認定の提案をいただきました。
思いがけないご提案でしたが、どうせ取得するなら、愛媛県第1号認定は介護企業でありたい!と思い、早々に準備を進め、新卒の採用や継続雇用について情報提供し、根拠を示す様々な資料を提出。 |
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申請して2〜3ヶ月の期間を経て、平成28年7月25日に取得することができました。
新卒採用は、一から育てることができるのが魅力であり、その分責任も感じますが、しっかりとした戦力になってくれると安心感が違います。
始まったばかりの制度のため、ユースエール認定の効果はまだまだこれから。
これをきっかけに、新卒の方の意識が変わってくれると嬉しいです。
この制度は、認定よりも認定の維持が難しい制度でもあります。
スタッフの意見をヒアリングしながら、働きやすい職場環境を整えていきたいです。 |
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【 新人研修 】
各リーダーによる新人研修を実施。
詰め込み式では、のちに忘れてしまうこともあると思うので、定期的に個人面談や、リーダーへのヒアリングなどを行い、要望があれば追加で研修をするなど工夫していきたいです。 |
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【 介護技術アップ研修 】
パートさんから声がかかってはじまりました。
職員の中で研修担当者を決め、「ここをもっと学びたい!」「この部分で困っている」という現場の声をもとに、外部講師をお願いするなど、学びたいことに合わせて、職員とともに考え、実施しています。
新人だけではなく、希望者が参加することができ、介護技術向上を目指します。 |
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【 新人を集めての交流会など 】
入社前にも、会社で開催するイベント等に招待し、会社の雰囲気を知ってもらっています。
この取り組みによって、事前に入社後のイメージが少しでもできればと思っています。
また入社後には、新人を集めての交流会を実施。
食事をしながら、今抱えている悩みを打ち明けたり、考えていることを伝えたりと、風通しのよい環境づくりを心掛けています。 |
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ユースエールの認定基準には、有給休暇の取得状況があります。
現状としては、弊社では、ほとんどの方は毎月コンスタントに有休を取得されていますが、中には退職時にまとまって取得する方もいます。
会社としては、仲間に負担や迷惑がかかることもあるので、できればまとめて退職時に取るのではなく、家族や自身の生活の充実のためや、元気で働き続けるために、上手に使ってもらいたいなと思っています。
そのためには、人員配置や、働く人の年代、バランスなどに工夫が必要ですし、こまめなコミュニケーション、面談や、キャリアビジョンの提示、ワークライフバランスの考え方などももっと必要だと感じています。
また、リーダーに仕事の負担が偏っている傾向もあり、次世代の育成や、役割分担も課題です。
社内での新人教育を見直し、マニュアルや手順書をつくって共有するなど、教育環境もより充実させていきたいと思います。
ユースエールの認定基準を達成するための数値にこだわらず、働きやすい環境づくりに今後も取り組み、みんながイキイキワクワクと働ける会社を目指したいです。
【 企業情報 】
有限会社やわらぎ
https://www.yawaragi-ehime.com/
【 メディカサイト掲載施設 】
https://www.medica-site.com/shisetsu_srh.php?city=0&srh_syurui=00&kw=%A4%E4%A4%EF
%A4%E9%A4%AE&sort=2&Image29.x=0&Image29.y=0
人員確保が難しいと言われている介護業界ですが、今回取材をさせていただいた2社では、スタッフの勤続が安定していて、かついきいきと働いている印象を受けました。
この環境まで持って行くのには、まず代表やリーダーのスタッフへの想いがあり、それをスタッフ全員に周知させ、かつ上手に公的な制度を使っていくことが、続けていくコツだと感じました。
まだまだ認知度が低いですが、くるみんもユースエールも、一人ひとりが楽しく働き続けることを目指した制度です。
上手に活用しながら、望まない退職者がでないように、働きやすい環境づくりができる企業が増えていけばよいなと思いました。
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