■そもそも「人権」とは何か? |
今や誰もが使っている言葉「人権」という言葉。しかしその意味に関しての解釈は、個人それぞれの人格、障害のレベル、人生背景、家族関係などによって千差万別。
共通概念を持てていないのが現実ではないでしょうか。
いくら「人権」が大切だと言っても、「人権」を倫理的に理解していないと、経験や知識が異なる他分野間での連携を取るのが難しくなり、本当の意味でのサポートをすることができません。
山本先生の講演では、「人権」という言葉を考察しながら、継続的に学習していく必要性を説きました。 |
|
|
|
■「自由」を守る難しさを理解する |
人権の中核概念に「個人の尊厳」という言葉がありますが、この定義も明確ではありません。
誰もが分かりやすい表現に置き換えると、「個人の尊厳」とは人間の「幸せ」を実現する手段=「自由」のことではないでしょうか。
認知症を患う高齢者のような社会的弱者にとっては、自由を守ることが困難です。
また介護者も同様に、「自由」が守られていないケースが多いです。
一方向から個人の「自由」を守ろうとすると、衝突が起こってしまいがち。
衝突を避けるためには、人権の「調和」が必要です。
そのためには、専門職間での連携が必要。
医療、福祉、法律、行政などの垣根を超えて、情報交換し、協力し合うことがこれからの時代には必要なのです。
|
|
|
|
|
|
|
|
「垣根を超えよう!」
座長 山本 克司(聖カタリナ大学 人間健康福祉学部)
シンポジスト
「看護の立場から」 岸 恵美子(帝京大学 医療技術学部)
「法律の立場から」 滝沢 香(東京法律事務所)
「医療の立場から」 日比 知栄子(とまと薬局)
「福祉の立場から」 山口 光治(淑徳大学 )国際コミュニケーション学部 |
|
|
シンポジウムIでは、「専門職間の垣根を超える」ということをテーマに、それぞれの立場から考える「虐待」についての考えが発表されました。 |
|
看護の立場から発表した岸さんは、訪問看護を通じて、頑に介入を拒否していた患者さんの心をほどき、抱えている問題に寄り添って行っていったという自らの経験を元にお話を進めました。
人との関わりを拒否する人が抱えている問題はとても複雑です。
看護師は、健康面からアプローチすることができますが、完全に拒否している患者さんには、家に入ることさえ拒まれてしまいます。
そんなケースで必要になってくるのは、地域との連携。
「◯◯さんはいつも◯時にお弁当を買いに行きますよ」「よく公園に水をくみに行っています」など、日頃の地域とのつながりを生かしてアセスメントしていくことが大切。
専門職が抱え込むのではなく、地域や他の専門職に助けを求め、一体となって取り組んで行くことが大切と述べました。 |
|
|
|
|
|
|
弁護士の滝沢さんは、高齢者虐待防止法ができたことによって、通報や届け出が増えたこと、市町村等が必ず対応するようになったという利点を述べながらも、立ち入り調査の困難性や、医療や警察などとの連携の困難性など、今の法律では対応しづらい問題点を発表。 |
|
|
管理薬剤師の日比さんは、自らが経験したセルフ・ネグレストの男性との関係構築を例に、意見を発表。
次々と問題を起こしていた男性でしたが、本人の孤独と苦悩を理解し、必要とする支援を構築することによって、信頼関係を築くことができたと言いました。 |
|
|
|
|
|
|
最後に福祉の立場から意見を述べた山口さん。
ソーシャルワーカーは、特に他の専門職との関わりが重要となってくる職種。
それぞれの専門性、異なる存在が他と関わり、共に歩むことに大きな意味があると説きました。 |
|