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>>今月の特集
あの時に何が起こり、どう対応したのか?
新型コロナウイルスの拡大を最小限に抑えた
介護付有料老人ホーム四葉の24日間に迫る!(前編)
~陽性者確認から終息までの日々~ |
2020年5月13日と5月22日、入居者さんに新型コロナウイルスの感染が判明した、介護付有料老人ホーム 四葉 さん(松山市高山町)。
その当時の様子や対応について、四葉グループ 代表取締役の上西光宜 さん、指揮を執られた統括課長の日野亮介 さん、現場の最前線で活動なされた管理者の宮本なるよ
さんにお話を伺いました。
今回のメディカサイト特集では、前編・後編にわけて掲載させていただきます。
前編では、時系列の流れと日野統括課長が注力された点に焦点を当てて、まとめていきます。
2020年5月12日(火)
牧病院(松山市)から、Aさんが四葉の2階へご入居される。
(ご入居された時点で、軽い微熱と咳の症状有り)
5月13日(水)
Aさんご入居の翌日。
午前中に、保健所から「Aさんが濃厚接触者である可能性がある」との連絡が入る。
15時過ぎ、Aさんは愛媛県立中央病院にPCR検査へ。
15時50分頃、呼吸器内科の医師から「所見から新型コロナウイルス陽性の可能性が高い」との連絡有り。
22時頃、Aさんに陽性判定が出たことの連絡が入り、感染が判明。
Aさんは、そのまま入院することになった。
5月18日(月)
濃厚接触者に該当する入居者さん4人、自宅待機中の職員10人にPCR検査を実施し、全員陰性が確認される。
5月20日(水)
Aさんが搬送先の病院で亡くなられる。
5月20日(水)
午後、Bさんに軽い風邪のような症状が出る。
(熱も軽く、少し鼻水が出るといった程度だった)
5月22日(金)
BさんがPCR検査を受ける。20時に陽性との連絡があり、22時に医療機関へ入院。
5月23日(土)
職員27名、利用者44名、計71名のPCR検査を実施。
全員の陰性が確認される。
それにより、2階の利用者20名、職員7名が追加で濃厚接触者と認定された。
6月5日(金)
濃厚接触者全員のPCR検査(2回目)を実施し、全員の陰性が確認され、日常を取り戻す。
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(統括課長 日野亮介 さん) |
2020年5月12日(火)
四葉グループでは、Aさんが病院へ行かれた直後に緊急ミーティングを開催しました。
緊急ミーティングで主に話し合ったのは、下記の8項目です。
① 安全な出退勤の経路の確保とスタッフへの周知
② 濃厚接触職員へ連絡・勤務表の作成
③ 感染防止の物品の確認・準備
④ 宿泊場所の準備や手配
⑤ ご家族や関係機関への連絡、HPの掲載などの方針の決定
⑥ 応援派遣職員の受け入れ対応
⑦ 感染フロアの業務について
⑧ 利用者さんの対応について
介護付有料老人ホーム 四葉からの感染拡大を防止するため、
・ 感染者が出た2階フロアを感染フロア
・ 3階フロアをクリーンフロア
職員の動線が重ならないよう、区別することに。
出入りの際は、建物の両サイドにある出入口を活用し、安全な出退勤の経路を確保しました。
出入り口には除菌スプレーを完備し、これ以上持ち込まない、持ち出さないように努めています。
管理職へ状況を説明、全スタッフへAさんの新型コロナウイルス感染について説明しました。
また、非番の濃厚接触職員へ自宅待機の連絡を行っています。
呼吸器内科の医師から『所見によると、新型コロナウイルスに感染している可能性が高い』との連絡を早い段階で受けたおかげで、それ以降の行動が迅速に対応できてありがたかったですね。
感染者であるという確定の連絡が来る、6時間も早く予測や次の行動に移せたので、その時間は大変貴重でした。
この当時はまだ、濃厚接触者の定義が明確ではありませんでした。
そのため、5月12日(火)・13日(水)に出勤していた2階と3階のフロア従事の職員を濃厚接触者と仮定したところ、職員の自宅待機者は10名。
2週間の自宅待機によって減ってしまった職員の勤務時間の調整のために、勤務表を組み直すこととなりました。
「濃厚接触者と想定したメンバー以外の全員のPCR検査を一刻も早く行いたい」と保健所に申し出るも、「すぐにはウイルス反応が出ないため、2週間ほど検査まで時間を空けてください」と、残念ながら断られてしまったのです。
自分も含め、誰が感染者であってもおかしくない状態。全員のPCR検査が完了するまで、とても不安でした。
消毒液などの衛生管理品や、リネン・オムツなど、日常的に使用する製品は、置き場を決め、事務員が物の移動を行いました。
それにより、感染フロアとクリーンフロアの職員の動線が重ならないようにするためです。
物品が取りやすいように配置にも気を配っている様子が、写真からも見てとれるかと思います。
新型コロナウイルス感染防止のために、使い捨てのマスクや手袋などを、今まで使っていない業種でも使用するようになった為、一時的に物品が品薄になることが多くなりました。
商品の減っていくスピードなどを見極め、早め早めの発注を心掛けることが大切だと痛感しました。
四葉では、もしAさんが陽性判定を受けた状態で戻られた場合に備え、この広い1階のホールスペースでの受け入れを想定していました。
3人目の感染者が出た場合や、職員の一時的な宿泊場所としても、こちらを活用しようと思っていましたね。
広いスペースがあったのは、良い心のゆとりになりました。
ご家族の仕事の関係上、家に帰ることができない職員もいらっしゃったので、宿泊場所の手配や準備を行いました。
1階ホールの奥にある休憩室に、テレビを置いて宿泊スペースとして使用できたのでよかったです。
また、コロナ対策として、念のために近隣のレオパレスを1部屋借りていたのも功を成しました。
宿泊施設を準備して家族と離れていただくことで、家族や家族の周辺が安心して貰えたように思います。
(後編へ続きます)
後編はこちら⇒https://www.medica-site.com/special/tokusyu137.html
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