認知症の方に回想法を取り入れているところも多いですが、
この時に必要なツールというのが「懐かしいモノ」となります。
あちこちの事業所で、古いものをよく見せていただきますが、
その際に、よく、「昭和のモノ」という説明を聞きます。
ここで考えなければならないのは、
「昭和のモノ」は懐かしいのか?
ということです。
そもそも、この「懐かしい」という概念は難しいものです。
ネットの国語辞典で「懐かしい」を検索してみると、
2 かつて慣れ親しんだ人や事物を思い出して、昔にもどったようで楽しい。
と説明されています。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/164186/meaning/m0u/
なんと、1番の説明ではありません。びっくりです。
懐かしいは、なつく(動詞)の形容詞とのことですので、なるほどではあります。
先日も、この「懐かしい」の定義について意見を交わしていたのですが、
自分自身にとって、「懐かしい」と感じるのはいつ頃なのか?と考えると、
古い記憶は幼稚園あたりの記憶が限界となりますので、
比較的、回想しやすい、小学校入学から成人ぐらいまでと仮定してみます。
つまり、
7歳〜20歳の14年間の記憶を「懐かしい」と仮定してみます。
ちなみに、話題で出すには賛否両論の第2次世界大戦(戦争)は、
1941年〜1945年、昭和16年〜昭和20年
という期間だったことを一つの目安としてみてください。
例えば90歳のおばあちゃんの場合、1926年、大正15年生まれとなります。
「懐かしい」期間は、昭和8年〜昭和21年。
ちょうど15歳〜19歳という、多感な頃に戦争を経験しています。
→ 昭和8年はこんな感じ(クリック)
→ 昭和21年はこんな感じ(クリック)
例えば80歳のおばあちゃんの場合、1936年、昭和11年生まれとなります。
「懐かしい」期間は、昭和18年〜昭和31年。
ちょうど5歳〜9歳までが、戦争を体験した期間となります。
記憶としては、ちょっと薄くなっている可能性があります。
→ 昭和18年はこんな感じ(クリック)
→ 昭和31年はこんな感じ(クリック)
ちなみに、東京オリンピックは昭和39年です。28歳の頃ですね。
例えば、まだまだ元気な70歳の女性の場合、1946年、昭和21年生まれとなります。
私の父親は、この年に生まれています。
「懐かしい」期間は、昭和28年〜昭和41年。
完全に、「戦後」生まれの方となります。
→ 昭和28年はこんな感じ(クリック)
→ 昭和41年はこんな感じ(クリック)
ちなみに、昭和39年の東京オリンピックのときは、18歳です。
さて、現在60歳の方が、20年後に介護事業所を利用された場合、
懐かしい期間は、昭和38年〜昭和51年となってきます。
昭和51年は、私も3歳になっていますね。
→ 昭和51年はこんな感じ(クリック)
さて、普段の話題、回想方で使用するモノ、古い新聞記事、昔の話題など、
それは、いったい「いつ」のモノ、コトでしょうか?
それは、入居者、利用者さんが何歳のトキでしょうか?
いろいろ調べてみると、面白いですよ!
こちらの写真は先日、取材したご施設。

あちこちの壁一面に、レコードのジャケットが凄然と並んでいます。その数、数百枚!!
これは間違いなく「懐かしい」かと。
歌の力はすごいです!!
ちなみに、私が高齢化する頃には、
ファミリーコンピューター(初代ファミコン)を復刻販売させると、爆発的に売れると予想されます。
発売は1983年、10歳のとき。(えっ、そうだっけ???と、既に記憶が違う。)
スーパーマリオブラザーズの発売は1985年、12歳、
ドラクエの発売は1986年、13歳、
ドラクエIIの発売は1987年、14歳。
あぁ、懐かしい・・・。
でも、スーパーファミコン(スーファミ)1990年発売(17歳)には、あまり懐かしさを感じない。
「懐かしい」の定義、間違えたか???
(記 平成28年8月11日)
|