お花で会話を彩る、空間アーティスト
介護業界に入って、6年目です。
私は幼い頃から草花に魅力を感じていて、観ることも育てることも大好きでした。
お小遣いを貯めては、草花の種や苗を買い、庭で育てていたのを覚えています。
小学生の頃から何となく、将来は草花関連の仕事に就く気がしていました。
その後、高校と専門学校で草花を学び、フラワー装飾技能士(国家資格)を取得。
学校卒業後は、地元の花屋さんに就職しました。
花屋さんで働いて10年が経った頃、
「自分なりのペースで、大好きな草花と向き合いたい」
そんな風に思うことが増え、転職を考えるようになったのです。
次はどんな仕事にしようかと考えていたところ、介護職員の友人から
「君は優しいし、介護の仕事も向いていると思うよ」
そう、嬉しいアドバイスを受けました。
私はコミュニケーションが苦手で、人前に出て目立つことは得意ではありません。
でも、陰で誰かのお役に立つ行動をすることは嬉しく思うし、実はとても好きです。
そんな私は小学生の頃から、ボランティア活動をしていました。
高校生の頃はボランティア部員として、福祉施設でお手伝いをしていたこともあります。
「確かに、介護職も向いているのかもしれない」
「とりあえず、挑戦してみよう!」
そう思い、病院の看護助手として転職したのです。
転職後の私は、病院業務で要求されるスピード感に圧倒されていました。
「自分はこの先、やっていけるのだろうか?」と不安に思っていたところ、介護職員初任者研修で出会った先生に、強い感銘を受けたのです。
その先生からは介護の仕事に誇りを持ち、心から楽しんでおられる様子が感じられました。
「自分なりに『やってあげたい介護』ができると、人はあんなに輝けるのか!」
自分も自分なりに介護職を頑張っていこう!と思うと同時に、転職を考えるようになったのです。
その後、2年お世話になった病院を後にし、ふくのかみへやってきました。
病院では患者さんにペースを合わせていただいていましたが、ふくのかみではご入居者様のペースに合わさせていただいています。
ふくのかみで働いていると、自分の中で『介護をさせてただいている』という感覚が強くなりました。
そう思うと自然に「(ケアをさせていただいて)ありがとうございます」と言葉に出ているのです。
すると、ご入居者様が「こちらこそ、ありがとうね」と言ってくださり、心がとてもほっこりしています。
以前、ご入居者様から
「この方はね、とても優しい方なのよ」
「私が夜、不安に思っている時にお部屋に来てくれて、手を握ってくれるの」
「そして『大丈夫だからね』と話しかけてくれるのよ」
そうお声がけいただいたことがありました。
自分としては、特別な行動をしている意識は無かったのですが、そんな風に感じていただけたのかと嬉しかったです。
様々な経験を重ね、私のコミュニケーションへの苦手意識も薄くなりました。
しかし、まだ前に出るのは得意ではないので、フロアにそっとお花を飾っています。
私は高校2年生の頃から生け花を続けていて、今年で22年目になりました。
現在も月に3回ほど嗜んでいて、お稽古で活けたお花は、フロアに飾るようにしています。
するとご入居者様やスタッフさんから
「まぁ、綺麗なお花ね!名前を教えて?」
「とってもいい香り!」
といった風に、話しかけてくださる機会が増えたのでした。
活けた花を観ていただいた方から、直接ご感想をいただけるのは、とても嬉しいことです!
自分がこれまでに培ってきた技術で、みなさんがこんなにも喜んでくださるなんて、本当に嬉しい。
介護のお仕事の、やりがいの一つです。
私にとっては、これはこれで『草花関連の仕事』に就いているともいえます。
自分のやりたい介護ができて、大好きな草花に囲まれて、とても生きやすくなりました。
これからも、皆様を陰から支えられる存在であり続けたいです。
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自分で活けたお花をエレベーター前に飾る、黒川さん。 お花だけでなく、背景の吊るし雛も、黒川さんの作品。 「このコーナーを見て、心を癒していただけたら」とニッコリ。
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お茶の時間に談笑する、黒川さんとご入居者様。 ふくのかみでは、様々な場所に黒川さんの活けた草花がそっと添えられていました。
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